皆さんは「祟り神(タタリガミ)」という存在をご存知でしょうか?何か正体が掴みにくい恐ろしい感じのするフレーズです。日本には八百万(やおよろず)の神々の思想が伝統的な考え方として根付いているものの、祟り神ともなるとどのような存在なのか気になって仕方がありません。

この記事では、この祟り神について、スピリチュアストの筆者が解説していくことにいたします。

ライター/myuza

九州出身、神奈川在住の男性です。 20年以上、スピリチュアル分野に関心を持ち、多くのスピリチュアリストの方々と交流をして、精神世界探訪をしております。 つたない経験ですが、人生に悩まれている方々の参考になるような情報をご提供させていただきたいと思っています。

祟り神とは?

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「祟り神」は荒ぶる霊的存在であり非常に恐れられているものとして、呪いの象徴として畏怖されてきました。

その一方で、その御霊を手厚く祀ることで、呪いの呪縛から解き放たれて守護神として崇められる神々でもあるのです。

もののけ姫に出てくる祟り神

祟り神と言えば、アニメ好きなあなたなら、すぐに思い浮かべる作品があるのではないでしょうか?それは宮崎監督が手掛けたスタジオジブリの「もののけ姫」です。

あらすじを見ると、エミシの村に住む主人公のアシタカが村を襲った「タタリ神」を退治した代償として右腕に死の呪いを受けてしまいます。

そして、「タタラ場」という鉄を作る村を舞台に族長のエボシ御前や山犬に育てられた人間の娘・サンとの邂逅により、山の神・シン神との関わりの中で神と人間の共生を探って行くのでした。

この作品でも、色々な祟り神(本作品では「タタリ神」と呼称)が登場してきます。

乙事主(おっことぬし)

本作品で代表的な祟り神が「乙事主」。 この神は500歳という年齢を重ねた巨大な白い猪神で多くの猪神たちを率いた最長老。

視力を失っていたものの、鋭い嗅覚と長年積み重ねてきた経験で強い精神力を持って人間と対峙してきたのです。

以前の乙事主は理性を持ち合わせて人間と戦っていましたが、激しい闘いの中で傷つき理性を失ってしまったことで、憎悪の念に支配されてしまいます。

その結果、完全に「タタリ神」となってしまったのです。

ナゴの守

次の祟り神は「ナゴの守」です。これもまた巨大な猪神であり、シシ神の森に住んでいる「タタリ神」の正体。元々は山の神である猪でしたが、人間が森を破壊していくことに怒り襲撃したことで、石火矢で鉄つぶてを撃たれて、「タタリ神」となってしまったのです。

祟り神はなぜなるの?

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自然の掟やルールを超越したような生命がなぜ祟り神になってしまうのか?素朴な疑問を持ってしまう私たちですが、それは感情を持つ生き物であるがゆえの宿命がありました。

死からの恐怖で祟り神になる

その宿命とは?それは「死の恐怖」と言ってもいいでしょう。人間が生活を便利にするために自然を破壊していく。そして、自然神を敬う心が薄れていくことで、動物たちは種の保存という生き残りから見放されていく。

何れ自分たちは人間に狩られて破滅していく死の恐怖に駆られて行くわけです。ナゴの守もこの恐怖心から「タタリ神」に変わって行くことを考えると、生命を持つ生き物だからこそ「生への執着」すなわち「死にたくない」という恐怖が祟り神に変化させて行くのだと思います。

実在した祟り神

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ここまで「もののけ姫」を引用しながら祟り神について見てきました。しかし、映画の世界だけでなく、いつの時代においても祟り神が存在してきたことを忘れてはなりません。

では、ここで実際に語られてきた祟り神について見ていくことにいたします。

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