その2.日本武尊(ヤマトタケルノミコト)
日本武尊は日本で初めての【忌み子】だったと言われています。景行天皇の子供であり、日本古代史上の伝説的な英雄として知られていますが彼もまた双子でした。
父・景行天皇の命令を間違って解釈し兄大碓命(おおうすのみこ)を殺してしまった為、疎まれ遠ざける為に日本平定の危険な任務を任されたということです。
その3.水蛭子(ひるこ)
水蛭子は伊邪那岐神(イザナギ)と伊邪那美神(イザナミ)が新婚生活を始めたときに最初に産んだ神と古事記に記されています。「水蛭子」の神名の由来ですが、「骨のない水蛭のような子」だったためです。
日本書紀には三歳になっても立つことが出来なかったので天磐櫲樟船(あめのいわくすふね)に乗せて風のまにまに放ち棄てたと記述されています。
ですがその「水蛭子」は現代の兵庫県西宮に流れ着き、漁師の戎(えびす)三郎に拾われて有名な【恵比寿・恵比須・戎神】になったのです。親から見放された水蛭子ですが、やはり神の子は神ということでしょうか?
また日本書紀には「天照大御神・アマテラス」「月読命・ツクヨミ」の次に「水蛭子」が誕生し、その後に「須佐之男命」が生まれていることから、そこに並ぶ大きな力をもった重要な神と位置付けられている事が分かります。
【忌み子】をテーマにした作品2選
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【忌み子】を主役にした暗いテーマですが、作品として見ることでより【忌み子】がイメージしやすくなるかもしれません。今回は小説・漫画と映画からご紹介します。
1.忌み子と呼ばれた召喚士
「忌み子と呼ばれた召喚士」は小説を投稿するサイトに無料で配信されていました。原作者は緑黄色野菜さんです。人気作となった今は、小説を原作に漫画も販売されています。
【あらすじ】主人公のヴィルムは黒目黒髪の忌み子は精霊を家族とし里を守る日々を送っていたが、ある日自ら下した判断の責任を果たす為、外界へ旅立つバトルファンタジーです。
2.どろろ
【どろろ】は手塚治虫の漫画で、アニメ化もされている作品です。元々は1967年から少年サンデーで連載された漫画ですが、近年でも人気があり、映画どろろ(2007年)リメイク版アニメどろろ(2019年)などでも見ることが出来ます。
【あらすじ】体の48か所を魔物に奪われた百鬼丸が魔物退治をしながら自分の体を取り戻す旅をするというお話です。戦国武将の醍醐景光は天下を取るという野望を叶えるために、まだ生まれてもいない我が子の体を48匹の魔物に与えてしまいます。生まれてきた子は体の48か所の部分をなくした状態で生まれ、川に捨てられてしまいました。
現代の忌み子とは
残念ながら現代でも【忌み子】という言葉は使われなくても同じような差別を受ける人もいます。文明や医療が進んでも差別の理由は昔と変わりません。周りの人と違う容姿を持って生まれても、それをハンデと取るか神様からのギフトと取るかは本人だけでなくその人を取り巻く人達に関係しているのだと思います。
今でも、「生まれた場所・育った環境」「親の仕事」「周りと違う容姿」など様々な理由から差別やいじめをされる人が沢山いますよね。度々問題になっているのが「黒人のアルビノ」です。肌だけでなく髪や目の色も色素が薄く、周りから恐れられ不吉なものとして又は呪術のいけにえなどにされています。
【忌み子】という文化を作ったのは大人です。それを子供たちに伝えていくかどうかは、今の大人たちの行動次第なのではないでしょか。