日本では絶滅したといわれている狼。その昔は神聖な生き物としてさまざまな逸話も残されています。そのため、スピリチュアルな世界においてもオオカミにはさまざまな意味が存在するとされていますよ。ここでは狼のスピリチュアルな5つの意味と生態、トーテムアニマルとしての意味をスピリチュアルな世界に詳しい筆者が解説しましょう。

ライター/柚葉黎子(ゆずはれいこ)

狼の生態とは

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森の王者ともいわれる狼。夜になると聞こえてくる狼の遠吠えは身も凍るような恐ろしさがあります。日本に生息していたニホンオオカミはすでに絶滅したといわれていますが、現在でもユーラシア大陸や北アメリカでは多くの狼が生息していますよね。ここでは狼の生態を詳しく解説しましょう。

ユーラシア大陸と北アメリカに生息するイヌ科では最大級

狼はおもにユーラシア大陸から北アメリカに代表される北半球に生息している犬属の動物です。現在確認されているイヌ科の動物の中では最大級の大きさがあり、野生のシカなどの大型の動物や小動物、ごみなどがおもな食糧。

一般的にハイイロオオカミとも呼ばれており、その亜種は30種になるといわれています。最近ではイエイヌがハイイロオオカミの亜種という説が有力となっているとか。またオオカミはコヨーテなどの小さなイヌ科の動物との交配も可能とされており、さまざまな亜種が存在するようです。

狼は人間を襲うというイメージがありますが、森に十分なエサがあれば実際に人間を襲うことはほとんどないとか。ただ森に餌となる生き物が減少することが原因で家畜を襲うことがあるため害獣として駆除されてきた歴史があり、このことがニホンオオカミやエゾオオカミが絶滅した最大の理由とされています。

一組のつがいを中心とした群れをつくる

狼は一夫一婦制で、生涯同じ相手と添い遂げる動物。狼の群れは基本的に繁殖にかかわるオスとメスを中心とした子どもなどの親族が集まったもので、3頭から8頭くらいが一般的とされています。ただ記録では最大42頭の群れもあったとか。

狼は肉食で大型の鹿やバイソンなどからのうさぎなどを捕まえます。食料が無くなると家畜を襲うことも。また狼のコミュニケーションはスキンシップや表情、吠え方などで行われているそうですよ。

生態系の回復のため絶滅地域へ再導入されている

狼は、家畜などを襲うため害獣とされてきました。ただ狼が家畜を襲うのは、人間が狼の生活圏を犯してしまったから。そして家畜を襲うようになった狼を徹底して駆除したことで、本来狼の食料となっていた大型の草食動物が繁殖しすぎてしまったとか。そのため生態系の維持のためには狼は不可欠な生き物であったことが証明されたといえるでしょう。そこで本来の生態系に戻すためアメリカでは絶滅した野生の狼を再び生態系に組み込み、元の生態系を取り戻した国立公園もあります。

狼のスピリチュアルな5つの意味

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神秘的なイメージと怖いイメージをあわせ持つ狼。ただスピリチュアルな世界では狼は、さまざまな意味を持つとされています。ここでは狼のスピリチュアルな5つの意味を解説しましょう。

意味1 神様としてまつられている

日本では山間部を中心に狼を神様の使いとして信仰してきました。秩父の三峯神社や奥多摩の武蔵御嶽神社では狼を神様の使いとしてまつっています。狼のご利益として山間部では五穀豊穣や作物を食べるシカなどの害獣除け、多くの人々が住む都市の周辺では盗賊除けや火の災難除けの意味を持つとか。また19世紀以降には、悪いものがとりつかないようにと「つきもの除け」の意味もあるとされていました。コレラが流行したときコレラはつきものという考え方が広まり、狼の骨の需要が高まったことがニホンオオカミの絶滅の要因のひとつとなったともいわれています。

意味2 命の原点・ほんとうの自分自身

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狼の持つスピリチュアルな意味は「命の原点」。狼は本能を大切にしている生きもの。そしてありのままの自分というものをしっかりと確立しているといえるでしょう。そのため狼のスピリチュアルな意味における命の原点とは、本来の自分自身ということ。本当の自分の姿をしっかり見極めることが大切であるということを伝えているといえるでしょう。

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