お正月の縁起物である松竹梅のひとつとしてとても縁起がいい植物といわれる梅。春の花が咲く時期になると真っ先にきれいな花を咲かせて私たちを楽しませてくれます。ここでは梅が縁起がいい3つの理由と梅の歴史、とくに縁起がいい申梅(さるうめ)の言い伝え、梅の期待できる4つの効果をスピリチュアルな世界に詳しい筆者が解説しましょう。

ライター/柚葉黎子(ゆずはれいこ)

梅の歴史

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春になると美しい花を咲かせるウメ。梅の花をみると春の訪れが近いことを感じますよね。ここでは私たちに春の到来を教えてくれる梅の歴史を中国原産の植物奈良時代から戦国時代には観賞用として愛されていたことについて詳しく解説しましょう。

梅は中国原産の植物

梅は中国の湖北省南部や四川省が原産といわれています。中国ではじつに3000年以上前から、青梅を燻製にして漢方薬として使用していたとか。日本へいつ頃到来したかということについてはふたつの説があります。

ひとつは青梅を燻製にしたものを烏梅(うばい)といい、この烏梅を800年頃遣唐使が熱さましや下痢止めの薬として持ちかえり、梅を薬の木として紹介した説。もうひとつの説は、朝鮮半島から紀元前3世紀から紀元3世紀ごろの弥生時代に伝えられたという説。ウメが日本へいつやってきたかということははっきりわかりませんが、本来中国原産ということは明らかですね。

奈良時代から江戸時代には鑑賞用や薬として愛された

日本に伝えられた梅は、当初薬の木とされていました。その後、花の美しさに魅了された奈良時代から戦国時代の人々は、おもに観賞用として梅を栽培していました。当時は、桜よりも梅の方が人気だったといわれています。ただ平安時代にはすでに梅干しが作られていたということですよ。

戦国時代ごろまでは梅干しは、貴族や武士の食べ物といわれ高価なものでしたが、江戸時代には一般庶民も広く梅干をつけるようになったといわれています。

梅が縁起がいい3つの理由

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梅はとても縁起がいい植物といわれ、色々なデザインの飾り物などがあります。ここでは梅が縁起がいい理由である春の到来を告げる花だから、梅という漢字が豊かさを象徴しているから、梅の花の香りが魔除けに・厄除けになるからという3つを解説しましょう。

理由1 どの花よりも早くきれいな花を咲かせるから

梅の花はすべての物が凍り付くような寒い冬のあと、最も早く開花しますよね。ウメの美しい花は、私たちに春という明るい季節がもうすぐやってくることを教えてくれているように感じます。梅の花を見ると厳しかった冬が終わり、明るい春が近いことがわかりとてもうきうきした気分になるもの。そのため梅の花を見ると明るい未来をイメージしますよね。このことから梅を家の庭木として植えるとどんな困難も素早く通り過ぎ、明るく大きな喜びがやってくるといわれています。

理由2 梅の漢字が豊かさの象徴とされるから

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梅という漢字は、木編と毎という漢字から成り立っていますよね。木編の由来は大地を覆うような大木を表し、豊かさをもたらすという意味があります。毎という字の意味は、大地を覆うほど草木がたくさん茂るというもの。どちらの字にも大地に豊かさをもたらすという意味が込められているため、とても縁起がいいといえるでしょう。

理由3 梅の花の強い香りが魔除けになるから

梅の品種は白梅や紅梅など約500種類以上あり、そのなかにはとても香りが強くいい匂いのする品種があります。強い花の香りは鬼が嫌うとされ、魔除けの意味を込めて昔の人々は好んで香りの強い品種を植えたそうですよ。そのため、梅は縁起がいいといわれるようになったとか。神社や寺社に梅があるのそのためといわれています。

また、梅に含まれるクエン酸が疲労回復の効果が期待できるともいわれていますが、医学的には立証されていないともいわれていますよ。現在はウメに関する予備調査が研究者によって行われており、今後医学的にも梅の効果が確認されるかもしれません。

ただ美しい梅を眺める、クエン酸など多くの成分を含んだ梅干を食べるなどは健康には何らかの良い効果が期待できることは確かといえるでしょう。

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