人は必ず命が尽きるときが来ます。ときにはあなたの大切な人がこの世から去ってしまうことも。大切な人との死別ははかり知れない悲しみをともなうといえるでしょう。ただ、生きている私たちは、立ち直り残された人生を生きていかなければなりません。そして個人差がありますが私たちには悲しみから立ち直るだけの力が備わっているといえるでしょう。ここでは大切な人との死別の苦しみから回復するまでの4つのプロセスと5つの向き合い方、最近注目されているグリーフケアについて大切な人との死別を経験した筆者が解説しましょう。

ライター/柚葉黎子(ゆずはれいこ)

死別の苦しみからくる身体的・肉体的反応とは

image by iStockphoto

大切な人が亡くなったあとに襲ってくる悲しみには個人差があります。亡くなった人とのつながりの度合いによって変わってきますが、配偶者や親兄弟、子どもなどのあなたにとって身近な人との死別では大きな悲しみに襲われてしまうといえますよね。ここでは大切な人との死別によっておこるといわれる精神的、身体的な反応や日常生活への影響を解説しましょう。

反応1 精神的な反応

大切な人と死別したあと、襲ってくるのが喪失感やひとりになってしまったという孤独感無気力などの精神的な反応といえます。とくに死別した相手の亡くなり方によっては、残された遺族に大きな精神的なダメージが残ってしまうこともあるでしょう。また、「もっと親孝行しておけばよかった」「あのときこうしておけば」などの後悔や罪悪感を抱いてしまうこともあるかもしれません。もう一度大切な人に会いたいという思慕の念から、さまざまな精神的な反応が現れるといえるでしょう。

反応2 身体的な反応

大切な人との死別では精神的な反応のほかに身体的にもさまざまな反応が現れます。代表的な症状は睡眠障害や食欲不振など。夜寝るときに亡くなった人のことを考えてしまい不眠症になることも。また、食事がのどを通らず食欲不振になったりします。また、言いようのない倦怠感や疲労感に襲われることも。

反応3 日常生活への影響

日常生活の中でもやる気が出ないなどで家事がおろそかになってしまうこともあります。日常生活も故人がいるときとは大きく変化してしまいそのことに戸惑うこともしばしば。時間が経過することで日常生活が変化したことに慣れてきますが、数年後また同じ思いになることも。私たちの気持ちは悲しみと回復の間を揺れ動きながら心の落ち着きを取り戻そうとしているといえるでしょう。

死別の苦しみから回復するための4つのプロセス

image by iStockphoto

死別の苦しみから回復するプロセスには人によってさまざま。ただ一般的には大きく分けて4つのプロセスがあるといわれています。さまざまな過程を経ることで心の落ち着きを取り戻していくといわれていますよ。ここでは一般的な死別の苦しみから回復するための4つのプロセスを解説しましょう。

プロセス1 ショック期・大切な人に死が訪れたことを知ったとき

大切な人に死が訪れたとき、残された人は大きなショックを受けるといわれています。長い闘病を経験しいつかは訪れると覚悟を決めていても大切な人がいなくなったという喪失感はとても苦しいもの。また、事故や心筋梗塞・くも膜下出血などの突然の出来事によって大切な人を失ってしまうときもあまりにも突然のことでパニック状態になるといえるでしょう。

何をしていいのかわからずただ茫然としてしまう人、葬儀の手配やこれからのことを考えながら煩雑に動き回ってしまう人。悲しみの表現の仕方には個人差がありますが、大切な人を失ったというショックは隠しきれないものがあるといえるでしょう。

プロセス2 喪失期・大切な人が存在しないことを実感する

大切な人が亡くなったという事実を受け止めることはとても難しいこと。ただ葬儀や遺品整理をしていく中で大切な人とのお別れを実感していくことに。大切な人がいなくなったという現実を目の当たりにすることで言いようのない喪失感を味わうといわれています。悲しみと喪失感が日増しに大きくなっていくことも。喪失感を感じている時期は、あなたの寂しさや悲しみを心の中に閉じ込めてしまわないようにしましょう。悲しければ思いっきり泣く、誰かに話したければしっかりと聞いてもらうことが大切。

次のページを読む
1 2 3 4