3.お正月
江戸時代、お正月に扇子を贈るという慣習がありました。末広がりという意味から扇子を贈ることで、その年が良い年であることが込められているのです。
現在では落語家の間でお正月に扇子を贈ることが残っていますが、彼らが仕事で扇子を使っていることはご存知のことでしょう。これもまたお正月に贈られた縁起物の扇子を使うことで多くのお客様がやってくることを祈っているわけです。
1.中国:散るという解釈
中国ではお祝いの品として扇子を贈ることはタブーとなっています。その理由は中国語で扇子のことを「シャンズ」と呼ぶため。この発音は解散(ジエサン)などの「散(サン)」を連想させてしまうため、「散る」という縁起の良くない言葉というのです。
このことからお祝いでの扇子は使われていません。
2.結婚式で扇子を贈ることはタブー
結婚のお祝いで扇子を贈ることもタブーとされています。結婚はおめでたい席なのですが、結婚のお祝いで末広がりの扇子を贈った時、「広がる=2人の距離が広がる」という解釈になり、良くないものとされているのです。
筆者の思い出:中華街で買った大きな扇で注目されたこと
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筆者が長崎にいた頃、市内の中華街で大きな扇を買ったことがあります。布製の扇子で不浄に大きくちょっとあおぐだけで大きな風を作れました。
黒基調に金の龍がデザインされていたのですが、数年後、ある事が理由で入院。その時にこの扇子を病院に持っていったのです。
夏の入院だったので、クーラーは入っているもののあまり利かず、この大きな扇子が重宝しました。そのうち同室の患者たちからもこの大きな扇子が注目されてしまい、いつのまには縁起担ぎのために「使われてくれ」と言われるようになったのです。
と言っても、この扇子は2,000円程度のものでしたが。
縁起のいい扇であなたもゲンを担ごう
ここまで扇の縁起がいい理由についてお話してきました。現代ではあまり使われることが少なくなりましたが、あなたも縁起物として扇子を使ってゲンを担いでみてはいかかでしょうか?