4.神の恩恵を受ける道具のため

4つ目は神の恩恵を受けるための道具として使われていたことが理由に挙げられます。古来から日本では拍手・鐘を鳴らすことで神様を招くことができると信じられていました。これは空気を振動させることが所以なのですが、風を起こして空気を動かすことができる扇も神様を招くことができる道具だったわけです。

儀式で扇が用いられるのもこのような考え方が背景にあるのですが、扇を持つことで神様の恩恵を受けられると信じられてきたことも縁起物として認識に繋がってきたのかもしれません。

5.末広がりの形をしているため

5つ目は末広がりの形をしているため。端に向かって広がる扇形は、末広がりの形をしているため縁起がいいと考えられてきたのです。霊山としても名高い富士山の形を模して縁起がいいとされる末広がりに扇を重ねたのかもしれませんね。

6.邪気を祓うため

6つ目は邪気を祓う道具であることが理由です。扇は人間に危害を加える魔やマイナスの気を打ち払う力があると考えられてきました。自然霊の天狗が持っている扇は自然を操ることができる上に悪霊を退散させることができるものとされていたのです。このことから扇は魔を払う力があることで、縁起がいいものになったと言ってもいいでしょう。

日本ではどんなシチュエーションで扇が使われる?

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日本では縁起がいいものとして扇子が使われますが、どのようなシチュエーションで使用されるのでしょうか?

1.成人式

1つは成人式ですね。最近の成人式では扇子を持っている人が少なくなりましたが、昔の成人式では必ず扇子が使われていました。末広がりでおめでたい意味もある扇なので、成人となった若者がこれからの人生で繁栄することを願って扇子が使われていたのです。

そのため成人式のお祝いとして扇子を贈ることも良いこととされています。

2.七五三

七五三でも扇子は縁起のいい物として使われています。七五三は子供のお祝いなので扇子はふさわしくないと感じるかもしれませんが、確かに最近の七五三で扇子を用いる人はそんなに多くはないでしょう。しかし、七五三は子供の成長を願う神聖な儀式であり、健康に育っていくことを願った儀式でもあるため、七五三のお祝いとして扇子を贈ることは、子供の成長と繁栄を願う意味を込めることができるわけです。

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