犬張り子の由来

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犬張り子という張り子人形を知っていますか?最近ではあまり見かけることがなくなった犬張り子ですが、犬をモチーフにしたこの犬張り子人形の由来と犬張り子に込められた願いについて詳しく解説しましょう。

犬張り子とは

犬張り子は子どもが生まれた後、約1ヶ月で初めてお宮参りするときに使われている白い子犬の張り子人形のこと。お宮参りは、正式には男の子生後31日目、女の子生後30日目で地元の神社へ参拝する行事です。

昔はせっかく生まれてきた子どもが生後1カ月までに死亡することが多かったため、無事1ヶ月を過ごすことができたことをお祝いするとともに健全な成長を氏神様に願って行われるもの。最近では季節や子どもの成長に合わせて生後1ヶ月から生後3か月までの間におこなうといいそうですよ。犬張り子をお宮参りに使用するようになったのは愛知県の熱田神宮が発祥。お宮参りで使った犬張り子は家に持ち帰り3歳の七五三の時に神社へ奉納します。

犬張り子に込められた願い

犬張り子には、両親などの家族の願いが込められています。医療が進歩していなかった時代にはせっかく生まれてきた子どもが1カ月以内で亡くなることが多くありました。そのため犬張り子にはほとんど病気もせず元気に育つ子犬のように健やかに育つようにという切なる願いが込められているといえるでしょう。子どもは子孫繁栄のためにはとても大切ですから。

干支の戌の意味とは

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犬は十二支のひとつとして知られていますよね。ただ十二支で使われる漢字は「戌」です。ここでは十二支に使われている「戌」という漢字の意味と「戌」という字に込められた願いについて解説しましょう。

「戌」の字とは

十二支は殷の時代の中国にその起源がさかのぼるといわれています。十二支に干支といわれる動物が付けられたのは、一説によると十二支だけでは一般庶民には覚えられなかったからとか。そのため十二支についている動物の名前はその漢字とは全く関係がないとされています。

十二支の戌年の漢字は犬ではないというわけ。十二支に使われている「戌」の字には、滅びるという意味があります。ただ「戌」という漢字がもつ「滅びる」の意味は、負のイメージではなくいったん滅びても再び繁栄するという新しい命を示唆したものといえるでしょう。そのため商売繁盛を意味する前年の酉年で得たものを戌年でまとめるという意味。

戌年に込められた意味

戌年の前年の酉年は、完熟した作物の状態を意味しますが、次の戌年は作物を収穫した状態のこと。そして収穫した作物を束ねてひとまとめにし、貯蔵するという意味といわれています。そのため、収穫した作物、つまり財産をしっかりと守っているということになりますよね。戌年という干支には「家を守る」ということが込められているといえるでしょう。

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