HSPの4つの特徴「D.O.E.S.」

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ここまで、エンパスの人は直感的にものごとを感じ取りやすく共感力が高いと紹介しました。それに対しHSPの人は「D.O.E.S.(ダズ)」と呼ばれる4つの特性を持ちます

これは、アメリカの心理学者でHSPを提唱したエレイン・アーロン博士が示したもので、この4つの要素全てに該当してはじめてHSPと定義されるのです。ここではこの「D.O.E.S.」の内容ををそれぞれ取り上げ、詳しく解説しました。

D:思考に深さがある

HSPの特徴のひとつに「思考の深さ(Depth)」があります。ものごとを簡単に理解して受け流すのではなく、どんどんと自分で深堀りして理解しようとする性質のことです。あらゆる可能性や意見を丁寧に扱ってしまうので、何かを判断したり、実際に行動に移したりすることが遅くなってしまうことも。

ただし、複雑な問題や答えのない問いに対しても深く考え続けることができるので、核心をついた質問ができたり、ほかの人が考えるに至らなかったところまで言及できたりすることもあります。

また注意深く考えることで慎重に行動できるので、重大なミスを防いだり事故に巻き込まれにくかったりと、リスクの回避にも繋がりやすい性質だと言えるでしょう。

O:過度に刺激を感じやすい

HSPの2つ目の特性は「過度に刺激を感じやすい(Overstimulated)」という点です。さまざまな刺激に敏感に反応してしまいがちなので、強い光や匂い、うるさい場所などは苦手な傾向にあります。特に、街中の人混みや大人数の集まるパーティーが苦手な人が多く、そうした空間にいるだけで疲れてしまいやすいです。

また、気候の変化や痛みに敏感な人もいるなど、感じ取りやすい刺激の種類や程度は人によって異なります。HSPの人はひとりでいることがそれほど苦ではない人も多いので、誰もいない静かな場所や、都会から離れてゆっくりとした時間が流れる自然豊かな場所などを好む傾向があるでしょう。

HSPの人にとっては、そうした場所や空間に定期的に身を置くことが、日頃消耗しやすいエネルギーを充電するのに大切だと考えられます。

E:共感力が高い

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「共感力(Empathy)や感情的な反応(Emotional reactivity)が高い」というのもHSPの大きな特徴です。HSPはエンパスと同様、感情やその場の空気を感じ取りやすいので、周囲の人の気持ちや態度が自分の言動にも影響することがあります。

例えば、誰かが怒られている様子を見るだけで、自分が怒られているかのように感じてしまうでしょう。辛い思いをしている人を見て、涙が出るほど自分のことのように感じることがある一方、他人が喜ぶ顔を見るだけで大きな幸せを感じられることもあります。

共感力が高く感情的なものに反応しやすい性質は、日常生活で大きなストレスを生む原因になることもあるでしょう。しかし、日頃からポジティブな視点を持つよう意識すれば、些細な喜びを感じ取り豊かな心で過ごすこともできるのです。

S:些細なことにも敏感に反応する

HSPの4つ目の特性は「些細なことにも反応する敏感さ(Sensitivity)」です。ものごとの些細な要素や変化に気が付きやすいので、微かな匂いや色、街並みの変化などがつい気になってしまいます。

また、周囲の人の声色や顔色などから、その人の機嫌のよさや感情の変化を感じ取ることも可能です。その敏感さゆえにあまりにもさまざまなことが気になりすぎると、それだけでストレスを感じてしまうこともあるでしょう。

しかしこの敏感さこそ、他人の気持ちを想いやることができるHSPの人の優しさにつながるのです。HSPが持つ、ほかの人が気付かないような部分も細やかにケアできる性質は、人と人との関係のなかで重要な役割を果たしています。

エンパスとHSPの共通点3つ

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ここまでエンパスとHSPの特徴や違いに注目してきましたが、もちろんこの2つには似ている要素もあります。そこでここでは、エンパスとHSPの共通点3つを取り上げ、それぞれ詳しく解説しました。ぜひ参考にしてください。

病気ではなく「気質」

エンパスはHSPはその性質上、病気の一種のように勘違いされてしまうこともありますが、実際は人の「気質」のことを指します。エンパスやHSPの人が持つ性質は、そうではない人も少なからず持っているものです。

偶然にもその性質がほかの人より発達しており注目されやすいために、「普通とは異なる」「特別だ」などの印象を持たれやすいのだと言えます。

ただし、非エンパスや非HSPの人に比べて日頃からストレスや疲れを溜め込みやすいというのは事実なので、それが原因でうつ病など心身の不調につながってしまう可能性もあるでしょう。あまりにも辛い状況なのであれば、心療内科や精神科などで一度相談してみることをおすすめします。

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