ライター/柚葉黎子(ゆずはれいこ)
だるまの由来
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縁起がいいといわれるだるまの歴史や由来を知っていますか?ここでは、だるまのモデルとなったインドの高僧で禅宗の始祖といわれる達磨大師と江戸時代から始まった目入れを購入後にする理由、さらに現代のだるま事情について解説しましょう。
モデルはインドの高僧達磨大師
だるまのモデルとなったとされるのはインドの高僧達磨大師。達磨大師は南インドの国王の三男で、インドで67年間仏教を布教したのち仏教を中国へ広めるためインドから中国へ渡りました。達磨大師は、禅宗の始祖として知られており、禅宗の最高位を示す赤い衣をまとっています。
中国へ渡った達磨大師は、嵩山少林寺(すうざんしょうりんじ)に滞在し、壁に向かって9年間座禅を組むという過酷な修業を行いました。その結果、達磨大師の手足は腐ってしまったということです。また、修業中に眠ってしまわないように自分の瞼を切り取ったという逸話もあるとか。
だるまの手足がなく目を見開いているのは修業を終えた後の達磨大師の姿を模したものともいわれています。
だるまの目入れは江戸時代から
だるまを買うとき目の部分は白い状態ですよね。ただ鎌倉時代にだるまがつくられ始めたころには目を描いていたといわれています。目を入れないようになったのは江戸時代から。
江戸時代に天然痘という多くの死者を出した疫病が流行しました。
天然痘には多くの子どももり患し、失明してしまう子どもが多くいました。そのため子どもが天然痘にかかり失明してしまわないように魔除けの力があるといわれただるまの目をいれない状態で買い、購入した人が目を入れるようになったといわれています。
現在では、だるまの目を入れるという風習がとても縁起がいいといわれるようになっているといえるでしょう。
現代のだるま事情
だるまは赤い色をして怖い表情をしているものが定番。しかし最近では天然痘の時と同じように疫病退散を願って「あまびえだるま」や「にゃんこだるま」などさまざまなバリエーションがあります。だるまの基本的なフォルムは変わりませんが怖い表情ではなく、笑ったような表情のだるまなどアレンジされた素敵なだるまが増えてきたといえるでしょう。
だるまは縁起がいい2つの理由とは
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だるまの由来はちょっと不気味なものがありますが、だるまは縁起がいいといわれる理由には達磨大師の教えが関係しています。ここでは、だるまは縁起がいいといわれる達磨大師の教えと日本の「おきあがり小法師」について解説しましょう。
理由1 決してくじけないという達磨大師の教えから
達磨大師の考え方のひとつに「二入四行論(ににゅうしぎょうろん)」というものがあります。これは達磨大師が最も大切にしていたという教えのひとつで自分自身の行動に責任を持ち、辛抱強く生きていくという意味。自分の信念を貫くことで道が開けるとも考えられており、自分の願いをかなえるために努力することで達成できない願いはないといえるでしょう。この教えを知ることでだるまは日々努力することの大切さを教え、願いをかなえるサポートそしてくれるといわれるようになったのでしょう。
理由2 何度でも起き上がる「起き上がり小法師」から
だるまは鎌倉時代に作られ始めました。当初は今のようにだるまの底は円形ではありませんでした。室町時代になると日本に「起き上がり小法師」が伝わってきました。起き上がり小法師は、倒れても繰り返し起き上がってきますよね。この姿はだるまの教えでもある「七転び八起き」に通じるものがあるといわれるようになり現在のような底が円形のだるまが作られるようになったそうです。だるまが何度たおされても起き上がる姿から不屈の精神が感じられ縁起がいいといわれるようになったのでしょう。