春の到来を告げる桜の開花。毎年楽しみにしている方も多いことでしょう。じつは桜は古くから縁起が悪く庭木に向かないといわれていることを知っていますか?ここでは桜が縁起が悪く庭木に向かない4つの理由と桜に関する4つの豆知識、最近の2つの桜事情を植物が好きな筆者が詳しく解説しましょう。

ライター/柚葉黎子(ゆずはれいこ)

桜の4つの豆知識

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桜の開花を春になると心待ちにしている人が多いですよね。あなたは「サクラ」からどのようなことをイメージしますか?じつは桜には、多くの人があまり知らないことがたくさんあるのですよ。ここでは桜に関するあなたの知らない豆知識を4つ紹介しましょう。

豆知識1 桜には600種類以上の種類がある

私たちが桜と呼んでいる木は「ソメイヨシノ」という種類の桜になります。じつは桜の種類は世界に600種以上存在するといわれているのですよ。日本にも沖縄で2月頃開花する「緋寒桜(ヒカンザクラ)」から始まり「河津さくら」「ヤマザクラ」「オオシマサクラ」「ヤエザクラ」などがあり、5月頃まで花見を楽しむことができるでしょう。ちなみにオオシマザクラなど数種類は日本固有種とされています。

豆知識2 桜のお花見の起源は神事だった

毎年、桜の花が咲くと桜の木の下でお花見をする方が多いですよね。ではどうして桜の木の下でお花見をするようになったのでしょうか。

じつはお花見は宗教的儀式だったといわれています。桜は、古くから神聖視されていた木。神様が天から降りてくるときに目印となるといわれていました。お花見の由来は、自然の中に出掛け美しい野山に咲く花をめで、その木の下で花を楽しむことで厄を払うというもの。もちろん天から降りてきた神様も一緒に花見を楽しむとされていました。

豆知識3 ソメイヨシノはほとんどがクローン

桜の代表的な品種といえば「ソメイヨシノ」ですよね。じつはソメイヨシノはそのほとんどがクローンということです。

ソメイヨシノは江戸時代中期から末期ごろに品種として確立。ソメイヨシノは当時、偶然か必然かは不明ですが一か所に集められた日本固有種であるオオシマザクラとヤマザクラが交配してできた品種とされています。その交配種を園芸家が挿し木することで増やしていったとか。そのため現存するソメイヨシノは、そのほとんどが挿し木によって増えていった品種。そのほとんどがクローンであるため同じ病気にかかりやすいとされており、現在は品種の存続に力がそそがれているといえるでしょう。

豆知識4 桜の葉には毒がある

桜の葉にはじつは毒となる成分が含まれています。その毒の名前は「クマリン」。クマリンはシナモンやコーヒーとともに自然の中に存在する芳香として知られています。桜餅などに使われる葉の独特の香りはクマリンによるもの。

ただクマリンは少量の摂取は健康に問題ありませんが、過剰摂取すると肝臓や腎臓の機能に影響する可能性があるとされています。また、桜の木の下に雑草が生えないのはこのクマリンが影響しているということですよ。

桜が縁起が悪く庭木に向かない4つの理由

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古くは「桜は縁起が悪いので庭木にしない方がいい」とされていました。現在でも庭木には向いていないとされる桜。ここでは桜が縁起が悪く庭木に向かないといわれる4つの理由を解説しましょう。

理由1 桜は開花してもすぐに散ってしまうから

桜の花は、開花すると1週間から2週間ほどで散ってしまいます。ほかの花よりは短命といえますが、そのはかなさが悪いイメージとなっていたようですね。華やかに美しく咲く桜の花も咲いるまでの期間が短いということから、江戸時代中期ごろまでは縁起が悪いとされ、結婚などのめでたい行事を行わないようにしていたとか。

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