犬は古くから人間の最良のパートナーとして知られています。古来は狩猟などを手助けする使役犬として活躍していましたが、現在はおもに私たちを癒してくれる友といえるでしょう。じつはこの犬は、とても縁起がいいといわれていることを知っていますか?ここではいぬが縁起がいいといわれる2つの理由と犬張り子の由来、干支の戌についてスピリチュアルな世界に詳しい筆者が解説しましょう。

ライター/柚葉黎子(ゆずはれいこ)

犬と人間の歴史

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犬は猫とともにもっとも古くから人間とともに暮らしてきた動物です。私たちにもっとも身近な動物ともいえますよね。では犬はいつの頃から私たちと一緒に暮らすようになったのでしょうか?ここでは人間と犬との歴史を紐解いてみましょう。

犬を人間が飼い始めたのは縄文時代から

人と犬との関係は古くからとても親密なものでした。日本では縄文時代にはすでに飼い犬が存在していたといわれています。それは縄文時代の遺跡の中から犬の骨が発見されていることから証明されていますよ。

また、平安時代の枕草子にも犬が登場しています。ただ平安時代は天皇が猫を飼っていたこともあり、あまり良い扱いは受けていなかったようですが。鎌倉時代には、首輪をつけた犬の姿が描かれている書物もあるそうですよ。江戸時代には、徳川綱吉の「生類憐みの令」などからペットとして飼われるようになったといえるでしょう。

現代における犬の役割とは

現代では空前のペットブームのなか多くの犬がペットとして私たちに癒しを与えてくれています。ペットとして飼われるほかにも警察犬や災害救助犬、麻薬探知犬など私たちのために以前とは違う役割を担った犬も多くなったといえるでしょう。戌とのかかわり方や犬が担う役割が変化した現在でも人間と犬との関係は変わっていないといえるかもしれませんね。

犬が縁起がいい3つの理由

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犬は人間にとって古くから最良のパートナーでした。また犬は安産や子宝の守り神としても知られています。さらに神社に鎮座している狛犬は魔除けの役割を担っているといいますよね。ここでは犬が縁起がいいといわれる3つの理由を解説しましょう。

理由1 犬のお産は安産で一度の複数の子犬を出産するといわれるから

犬の出産はとても安産といわれています。また犬種によって違いますが一度に3匹から5匹、大型犬では10匹以上の子犬を出産することから犬は安産や子宝の守り神として古くから大切にされてきました。さらに子犬はとても丈夫で健康に成長することから子どもの健やかな成長を祈願して犬張り子を贈るという風習が残っています。地域によっては「妊婦が犬を大切にすると安産になる」「戌の日に腹帯をすると安産で健やかな子どもに恵まれる」などの言い伝えがありますよね。いずれにしても犬は安産や子宝の守り神なのでとても縁起がいいというわけ。

理由2 犬は邪気などの魔物を払うことができるから

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犬は邪気を払う魔除けの力があるといわれています。犬が遠吠えすると魔物が逃げていく、犬がいる家には邪気が入り込めないなどの言い伝えがあるそうですよ。さらに神社に鎮座している狛犬。本来は獅子がモチーフとされていますが、日本人にとって狛犬はやはり「犬」ですよね。

また、ある地域では飼い主がなくなると可愛がっていた犬は、飼い主を負ぶって三途の川を渡ってくれる、さらにあの世での苦しみも変わってくれるともいわれているそうですよ。

理由3 風水では成長を促す象徴

風水では犬は、出世や成功へと導いてくれる動物といわれています。都市伝説ではありますが、徳川綱吉が犬を溺愛した本当の理由は自らの治世の安泰を願ってのこと、さらに上野恩賜公園にある西郷隆盛とともにいる犬が東京の繁栄を守っているともいわれているそうですよ。

夜行性である猫とは違い、人間とともに太陽が昇ると起きだし活動し日が沈むと眠るという生活リズムを持つ犬は自然のリズムと同じサイクルを持つ動物。そのため犬は自らの本質を向上させるサポートをするといわれています。

犬は中国の自然哲学思想である五行の中の「火」の気を持つため、その力強い気を人間にも分け与えてくれるとか。犬を健全に育てることができれば私たちも健全に成長していくことができるともいわれているそうですよ。

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